【報告】Michael Waldman One-Day Lecture on Internal Labor Markets 2018年10月31日
企業間競争においてヒトが果たす役割を分析するにあたり、企業内部における昇進・査定・賃金決定・職務分担・権限委譲・インセンティブ・企業内訓練など、内部労働市場の研究は極めて重要な要素となります。内部労働市場研究の第一人者であるMichael Waldman 教授を米国コーネル大学からお招きし、2018年10月31日(水)一橋大学・佐野書院大会議室にて、この研究分野の基本理論に始まり最新の研究動向まで1日かけてご講義いただきました。 まず、人的資本蓄積理論について、基本となるGary BeckerによるGeneral human capital と Firm-specific human capitalの意義と限界が示されました。 次に、この限界を乗り越える新しい概念としてのTask specific human capitalについての紹介とその理論を用いた分析が示されました。 Task specific human capitalは、それぞれの企業が提供する財・サービスを差別化するにあたってそれぞれの企業が異なるTaskを構築する必要があり、それがTask specificityの度合いを決めるという意味で、企業間競争と内部労働市場を分析する鍵概念として重要であるとの認識が示され、本科学研究の今後の研究の重要な要素となることが認識されました。当日は50名に及ぶ出席者があり、研究者および大学院の学生を中心に、内部労働市場研究を今後どのように発展させて行くべきかなど、活発な議論が行われました。